普通に生活をしてできた傷みなどの補修費用は原則は貸主負担です。
しかし、貸主負担がどこまでの範囲か、わからない方も多いと思います。
一度、例を上げて整理したいと思います。
家主負担に当たるもの例
・太陽光による畳やフローリングやクロスの色落ち・変色
・家具設置による床やカーペットの凹み・設置跡
・不注意で雨などが吹き込み、フローリングが色落ちした
・テレビや冷蔵庫の後部壁面の電気ヤケ
「原状回復」の基本的な考え方
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」 国土交通省参照
「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・ 過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」
と定義し、その費用は賃借人の負担とされています。
簡単に説明します、「畳が日に焼けた」などの経年変化や、通常の住まい方、使い方をしていて生じた汚れや傷みをなおす費用は、貸主の負担ということ。
通常の使用による損耗等の修繕費用は毎月の家賃に含まれていると考えられています。
では借主負担はどこからでしょう。
例を上げてみます。
・風呂・トイレ・洗面台の水垢・カビ
・ガスコンロ置き場や換気扇の油汚れやすす
・カーペットに飲み物をこぼし、掃除を下がシミやカビ後がのこってしまった。
・下地ボードの張替えが必要なほど深く、範囲も広いくぎ穴・ねじ穴
・ペットによるキズ・臭い、落書きによる汚れ・傷み
使用期間中に、清掃や手入れを怠った結果、汚れたり傷んだりした場合などは
借主の管理などが悪かったということで、借主の負担になるケースが多いのです。
つまり、「飲み物をこぼした」ことは「普通に生活をしていてありえること」ですが、「その後の手入れや管理を怠ってしまった」というのは通常ではない、という判断になってしまいます。
ガイドラインによって室内の壁紙やクッションフロアの耐用年数が6年、備え付けの設備ではエアコンが6年、便器や洗面台などは15年と定められています。
入居時に壁紙が張り替えられたばかりだった場合、3年間住んで退去する際は耐用年数の半分が経過したことになります。
退去時に壁紙の張替えが必要であったとして、その費用が10万円だった場合、耐用年数の半分が経過していることから借主の負担は半分の5万円となります。
しかし、耐用年数を超えた設備を不注意で破損してしまった場合、修繕費用は負担しなくていいのか?というと、そういうわけではありません。
ガイドラインでも「耐久年数を超えたとしても継続して使用可能な設備は、入居者の故意・過失によって工事が必要になった場合、その工事にかかる費用の一部を入居者側も負担する可能性がある」とされています。
入居から10年目に壁紙を不注意で焦がしてしまったといった場合は負担が無いように考えてしまいますが、借主の不注意であれば費用の負担が発生する可能性があります。
これは、一般的・客観的に要求されるレベルの注意を払って使用する「善管注意義務」が生じることによるもので、賃貸物件が借りたものである以上、常に注意して扱わなければならない義務があり、その義務を怠ったと判断されるためです。
以上のように「原状回復」はどこまですればいいのかを知っておけば、退去時に不要なトラブルを避けることができます。 さらに、一歩進んで原状回復のトラブルを未然に防ぐには、じつは「新居に入るとき」がポイント。
新しい住まいに引越す前に、前に住んでいた人が付けた傷や汚れがないか、管理会社の人や大家さん、借主立合いのもとで、お互いの共通認識がどこに有るかを確認しておくことをおすすめします。
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